フェチロワイヤル、やります(その1)

「フェチロワイヤル」 – LOFT PROJECT SCHEDULE

こんなイベントをします。

4月22日(土)深夜 阿佐ヶ谷ロフトA

「フェチロワイヤル」

【出演】鶴岡法斎、雷神(AV監督)、麒麟(AV監督)、白虎(AV監督)

誰もが持っている自分だけがこだわる『性的嗜好』を語るトークイベント。そこにゲーム的要素を入れてお互いがトークしながら相手を採点して競うという新機軸。今宵、最強のフェチズムが現れる?

【ルール】出演者は定量のチップを所有してクロストーク。誰かの話に「共感」もしくは「驚嘆」した場合、チップをその感情の量だけ渡す。最終的にチップの一番多かったものが優勝。

 

まあ内容については当日会場で、ということで、ここでは出演者のことを少し。

今回は麒麟監督のことを書きます。

作品は以前から存じていましたが昨年イベントで知り合って急速に親しくなりました。

矛盾した表現ですが非常に感じのいい、頭のおかしい人です。

AV監督として取られているのは「ごっくん」「食ザー」です。

女性が精液を飲んだり食べたりする作品ばかり撮っています。

これは自分の性的嗜好に拠るものなのですがインタビューや手コキ、フェラなどはとても見ていて興奮する作品です。画も綺麗で編集がうまい。でも女の人が食品に精液をかけて食べるシーンになると自分は性的に無反応になります。

絶対に上手に作ってます。自分にその趣味がないのが悪いのです。何かルールのわからないスポーツを見てるような感じ。

前に麒麟さんに、

「普通のAVは男優が射精するところで感情移入して見てる方も射精する。ごっくん、食ザーは射精してから話が始まるようなものなので難しい」みたいなことをいいました。正直、そのジャンルで仕事をされてる人にとって失礼とも受け取られる意見ですが、自分はちゃんと麒麟さんと人間関係を構築したかったので、そう伝えました。すると麒麟さん、しばらく考えて、

「そのわかんない世界の、先にあるものが見てみたい」と。

冒険家かロックスターのようなかっこいいお言葉。

普段はなんだかんだでからかったり弄ったりしますが、基本的にこの人を信用して、尊敬しようと思いました。いまでもずっとそう思ってます。

ひとつ仕事を降りましたが募集中なのです

「まったく申し訳ない」
 そうメールに書いて、テープ起こしの仕事を降りた。自分が取材に同行しておらず、しかもくわしくないジャンルのものだったのでどうしてもウスノロになってしまう気がしたので(事実モタモタしていた)降ろさせてもらった。落とすより降りた方が迷惑は少ない、はず。
 モチベーションは少ないものの、完全にそれが消えてしまった数年前よりかはずっと好調であるはずだ。アルバイト(書店員)の日数がもう少し増えてくれたら収入は何とかなるのかも、と思っている。
 しばらくは書きたいものをできるかぎり書きたい。気力体力は落ちているんだろうけど、できるかぎり好きなものを調べ、好きなように書きたい。プロじゃない感じ、それでもプロかと罵倒されたら素人だよといいかえせるような状態に精神を置きたい。

 どうしようもない、誰が調べるんだ、という事象の調べ物は開始している。これはすぐには金にならないし、むしろいまはお金使ってるんだけどやっているときすごく楽しい。高揚感がある。これでお給料貰えたらなあ、って20代の時と同じようなこと考えています。

東京のお笑いライブで見られる芸人10選

 最近、何年ぶりかにお笑いのライブに行くようになって、テレビでたまに見れる、ライブにはよく出る芸人さんを見るようになりました。誰が必要なのかとかはそのうち考えるとして、ここで主に東京のお笑いライブで見られる芸人10選を記そうと思います。

モグライダー

 ヘタウマっていうか、ネタ中にとても演出とは思えない感じで脱線してどんどん面白くなる漫才。基本がちゃんとできてるからこそやれるデタラメ。二人のキャラクターはとても魅力的。ロックっぽいというか昔のチンピラみたいなツッコミと朴訥すぎるボケ(裸足)。

ねじ

 バナナマン以降といえる上質なコント。ストーリー、伏線が緻密に計算されてる。ネタ番組とかで見た記憶がほぼないんですけどすぐに通用すると思う。

ローズヒップファニーファニー

 自作の小道具をたくさん使ったコント。奇想天外でかつ、くだらない(誉め言葉)。「仮装大賞」のネタは最初から全部しようもなくて最高です。

ヤーレンズ

 漫才。おぎやはぎみたいな脱力漫才の系譜なのか。他愛もない無駄話をしてるだけに見えるんだけどそれがいい。確実に笑えるから。あと二人の姿勢というか、所作、仕草が美しいです。なんの情報もない話を上等な技術でずっと見られる至福。タランティーノ映画の登場人物がずっと無駄話してるのにちょっと近いかも。

Aマッソ

 関西弁強めの女の子二人組。コントも漫才もしますが自分は漫才のほうが好きです。所謂「女芸人」として扱われてほしくないし、本人たちも望んでないのかな、と。「なんかあったらすごく売れそう」って雰囲気があるんで、期待と不安(?)で見てます。

虹の黄昏

 どうしていままで自分は知らなかったのかと後悔するレベル。ハイテンションで意味不明なコント、のようなもの。半裸の男が叫んで暴れる。知性とかそういうものを感じさせない。ただひたすらくだらないだけの時間。見ていると幸せになります。周囲に薦めているのですがなかなか賛同者がいません。

キャプテン渡辺

 何年か前にR-1も出たしクズ漫談、ギャンブル漫談によって一定の地位は築き上げたでしょうが、まだライブに積極的に出てるし、最近やってる探偵の漫談は素晴らしいのでみんな見てほしい。来年のR-1はひょっとするかも。

スーパーニュウニュウ

 コントでは一番注目してるかも。男女コンビ。ボケの女性がエキセントリックなのが目が行くけどツッコミの男性「大将」(そういう芸名)の芝居の巧さや、実は結構彼も狂気を秘めてるのがいいです。YouTubeでも見れるんですがケロケロけろっぴのコントは傑作。根元敬漫画のような後味の悪い終わり方のが多いです。

錦鯉

 そもそもテレビでこの人たちの漫才を見てライブに行こう、と決意しました。それだけすごい。基本はしっかりしてるんでしょうけどそこから形をどんどん逸脱していく漫才。コンビ自体は結成数年なんですがボケのまさのりさんは芸歴長くてすでに40代半ばです。漫才のネタ見てる時に「ああ、このやりとりを永遠に見ていたい」と思えるほど面白くて中毒性が高いです。

 東京のライブシーン中心の感想ですし、自分もそれほど数多くはいってないのですが何かの指針になれば。面白い人いっぱいいます。ネタバレ的な感想を避けたぶん、抽象的な話が多くなったきらいありますがいまは動画サイトもあるんで確認してください。でもライブに来てほしい。

存在しない音楽

 YouTubeができる前の時代、レコードやCDで、雑誌やお店でジャケは見ているけど聞いたことがなくて、
「いったいどんな音なんだろう」って空想してる時間ってあって、あの「間」みたいなのはいまになって思ったら、不便だった過去を美化してる年寄りみたいだけど、なんかよかったなあ、って思える。90年代はジャケだけみてボアダムス想い出波止場レジデンツなどの音を勝手に想像してた。それは正解とは違っていて、そしてどこにも存在しない、でも頭のなかで聞こえてるんだからかつて聞いた何かの寄せ集めなんだろうけど、まあそれはそれで楽しいものだった。それだけの話です。

卯月妙子「人間仮免中つづき」

 卯月妙子さんには何度かお会いしたことがある。初対面でインタビューさせていただいた、はず(記憶が曖昧)。実録企画モノが出版された後だから2000年以降のはず。そのあと、何度かイベント会場などでお見掛けしてご挨拶した程度。綺麗な人だな、と思った。ただ実録企画モノは読んでいるし、そもそも卯月さんを最初に見たのはスカトロのAVでメチャクチャにハードなプレイをする人って印象なので美よりもその禍々しさが強かった。名刺を渡したからだろう。ある日、自宅に卯月さんの同人誌が郵送で届いて、同封されて手紙が何度読んでも、どこか辻褄が合わないし、何をいってるかわからない部分があったので返事をしないでいた。精神的に不安定なところがある方だというのは人伝に聞いていたのでまあそういうことかなと思って。
 当時、卯月さんはホームページをやっていて、そこの日記も日増しになんだかわからない内容で、時たま攻撃的な長文が大量にアップされていた。それからしばらくしてから、彼女は舞台上で自殺未遂をした。
 その後もなんかいろいろあって。何年かに一回、名前を思い出す。こちらはそんなに親しいわけじゃないけどとにかく心配で、
「無事であって」と思っていた。
人間仮免中」は2012年、自分も諸事情から四六時中寝てばかりの、半ば廃人の時に読んだ。友人から「とにかくすごいから読め」といわれて。
 歩道橋から飛び降りて大怪我したって話はショックだったし、統合失調症の幻覚から卯月さんが壊れていく様子がエッセイ漫画として描かれているのがとてつもなく怖かった。でも新しい恋人ができて、まあとりあえずよかった、と思えた。
 それからまあこっちはこっちでいろいろあって。廃人同様だった自分もやっと調子が取り戻ってきた。そんなときに「人間仮免中つづき」が出た。
 描かれてるのは恋人との愛。家族、友人との結びつき。情け容赦なくやってくる統合失調症の幻覚。試練。そして震災、などが描かれている。読んで感動して、そして異常なほど疲れた。作中の苦しみが痛々しくて瑞々しくて、軽く読めるものではなかった。素晴らしい本なんだけど、多くの人の目に触れるのはどうなんだろう。でも印税で卯月さんには穏やかに暮らしてほしいと思うので売れてほしい。そういう矛盾した気持ち。うまく説明できないんだけど、やっぱり自分の親しい人には読んでもらいたい。この気持ちを共有したい。この作品で、孤独、理解されない状況っていうのが一番地獄だって確認できたから。そして人間はつらいことを言葉にして、作品にして、いやここでいう作品っていうのは狭義の作家と作品って意味じゃなくて、人間の生きた証みたいなもんとして、そういうものを作って、悲しいことを昇華させていくんだなと。
 多分、卯月さんはこっちのことなんて覚えてないだろうし、もうお会いすることもないだろうけど、応援してるし、こっちもこっちでこの作品で応援されてるような気持ちになれた。
 ありがとうございます。
人間仮免中つづき」。やっぱりみんな読んでください。
 あと余計なお世話ですが帯文でちょっと驚くようなネタバレがあるんで書店で見つけたら即、購入してブックカバーをつけることをおすすめします。

バスのある暮らし

 前より調子は良くなっているのですがもやもやしてるところはそれなりにしています。自分が世間から見放されているのにこっちは世間に興味津々でインターネットやテレビを見てしまって勝手に情報を仕入れて、勝手に傷ついているのです。もっと静かに暮らせばいいものを一度でも人や世界と関わった時の孤独というものが消滅する感覚にとりつかれているのでしょう。ある意味ジャンキーです。インプット、アウトプットのバランスがもうちょっとちゃんとすれば少し落ち着くと思います。話したいことがあるけど何を話したらいいのか、どういう風に話したらいいのかさっぱりわからなくなっているんでしょう。この数年、ずっと寝てるようなものだったし。根源にある形にならないものが見事なぐらい形にならなくて癇癪起こしているんですよ。
 バス乗ってると楽しいですね。高速バスじゃなくて都内の路線バス。都バス。天気のいい日に座ってる時が特によくて。暖かい日差しが差し込んでる時にバスの振動にそこそこ揺られてると安らかな気分になります。10分、20分くらいなんですけど、落ち着きます。